「銀行が嫌いだから、金融庁に入った」。まじめで、公正。最も信頼される金融庁検査官、松崎哲夫。ある日、大合併による綻びが噂される大東五輪銀行の怪文書が届く。哲夫に下った、そのメガバンクへの査察命令。しかもそこは弟が勤める銀行で—。巨大化した組織の闇。金融庁VS.銀行。企業統治の心はどちらに。
「引き当て」という言葉が懐かしかった。銀行に融資の申し込みに行くときは「引き当て財源」が必ずなくてはならなかった。確実な財源があればスムーズに融資実行が承認される。しかし必ずしもその財源があるとは限らない。スムーズな融資実行のためにその財源を「創り」出さなければならなかった。この時点で組織の闇は芽生えている。摘み取らなければ成長を続ける。常にA面とB面の数字を混在することなく、しかもリンクさせて管理しなければならなかった。

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